【NHKスペシャル】 未解決事件 オウム真理教 【レビュー】

NHKスペシャル 未解決事件
File.02 オウム真理教

未解決事件

オウム真理教 オウム真理教02

放送日
5月26日(土)19:00~ 第1部 「オウム真理教 17年目の真実」
5月26日(土)21:00~ 第2部 「オウム真理教 17年目の真実」
5月27日(日)21:00~ 第3部 「オウムVS警察 知られざる攻防」

再放送予定
6月2日(土)01:55~ 第1部 「オウム真理教 17年目の真実」
6月3日(日)01:20~ 第2部 「オウム真理教 17年目の真実」
6月3日(日)02:35~ 第3部 「オウムVS警察 知られざる攻防」

NHK 未解決事件
⇒http://www.nhk.or.jp/mikaiketsu/


NHKのシリーズ「未解決事件」の2回目です。オウム真理教関連の事件について取り上げています。ちなみに第1回目では「グリコ森永事件」を扱っていました。

オウム事件については解決済みじゃないの?と思いましたが、NHKとしては麻原が動機について語らず裁判が結審したので謎が多く残っているとので未解決事件として取り上げたようです。

個人的には「未解決事件」と題するからには犯人がまだ捕まっていない事件・捕まらずに時効となった事件・冤罪が疑われる事件を取り扱って欲しいと思いました。オウム関連事件の中には、警察庁長官狙撃事件などの未解決事件がありますが、番組内では全く触れられていませんでした。

この番組の基礎をなすのは
・井上嘉浩死刑囚からの手紙
・裁判記録
・元古参幹部100時間の証言
・教団の700本に及ぶ極秘カセットテープ
だそうです。

NHK独自入手とか独占入手という触れ込みのものもあるのですが、新規性(意外性)に乏しかったです。今更感のある内容でした。

第一部・第二部前半はドキュメンタリードラマになっており、萩原聖人演じるNHK記者が元古参幹部にインタビューしながら当時のオウム真理教を回想します。

第二部後半はドキュメンタリーパートで、麻原が宗教家になる前を知る人の証言や、麻原の説法が録音された極秘カセットテープから分析できる事実についてです。

第三部はオウムの事件と警察との関わりを時系列で追い、どのタイミングでどれだけオウムのことを警察が把握していたかを、警察関係者へのインタビューで明らかにします。

※追記2012/06/04
06/03にオウム真理教の指名手配犯「菊池直子」が逮捕されました。



第一部・第二部のドラマパートですが、ぶっちゃけ蛇足が多かったです。放送局はタレントを使うことを強いられているのだろうか、無駄が多いとしかいいようがありません。
NHK記者
当時の回想シーンについての再現ドラマはとても興味を持って見ることができましたが、NHK記者の存在意義が理解できない!!不要です!!

ドラマにはこのNHK記者が元信者を問い詰め説教するシーンがあり、非常に不快に思いました。まるで記者が正義の代弁者であるかのような表現です。メディアの人間が正義を振りかざすことに対して嫌悪感を持つのは私だけではないはずです。

このドラマはNHK記者の実際の取材を再現しているのかもしれませんが、記者側にとって都合の良いように改変されている気がしてなりません。

こういったドキュメンタリー番組を見るときは、眉毛に唾をつけて見るようにしていますが、この再現ドラマの部分もおそらく嘘・偽り・ねつ造が含まれているような気がしてなりません。見ていて番組制作者側の演出が垣間見えるので、あまり真に受けないようにした方がいいと思います。

念のために言っておきますが、オウム側の肩を持つわけではありません。

このドラマパートで押さえておくべきは、なぜオウム真理教が犯罪行為に手を染めるようになったのか、つまり暴走するきっかけは何だったのかについてです。

ドラマ内の展開だと、信者が教団施設内で事故死したのを隠蔽したことが暴走するきっかけだったとしています。企業犯罪と構造は同じで、隠蔽を重ねるごとに悪質化したとしています。



第二部の後半はドキュメンタリーパートで、麻原が宗教家となる前を知る人の証言がありました。

過去の盲学校の先生・先輩の証言はいいとして、ノンフィクション作家の話がちょっと眉唾というか、キャッチ-な話の広げ方がある気がして素直には受け止められませんでした。取材した人(ここではノンフィクション作家)を取材するNHKは怠慢ですね。直接取材に行けよといいたくなりました。

そして麻原の説法を記録したテープ700本について取り上げます。やたら極秘ということを力説してました。そしてテープの分析で今までの定説が覆ったと力説しています。

いやいや、NHKが手柄をあげたというアピールしなくても良いよと思います。とりたてて新規性・意外性はなく、誇大アピールです。

おかげで内容がどんどん胡散臭い方向へと進みます。

そしてテープを大学教授に分析を依頼するのですが、エスノメソドロジーという手法だそうですが、胡散臭さがプンプンします。説法のスタイルについての分析です。

結論(サリン事件など)を分析者が分かっているので、それに上手く摺り合わせるようにテープの内容を分析しているとしか思えません。同じ事をすれば誰でも麻原のようにカリスマになれるのかといったらそうではないでしょう。学問として本当に成立してるのこれ?と思ってしまいました。

次に宗教社会学の大学教授にテープの教義を聞かせ、説法の内容について分析します。教義が荒唐無稽で、麻原の都合が良いようにヴァジラヤーナの解釈をすり替えているとしています。宗教教義に矛盾があって、教祖に都合のいい解釈が出てくるなんて当たり前じゃないかと思いますが、なぜかこの点に焦点をあてています。こんなことは新興宗教ならザラでしょう。

まぁ社会学の分析にはありがちですが、こんな内容を大々的に放送すべきではないでしょうね。少なくとも複数の人からの分析結果の比較がないので不十分きわまりないです。

権威(大学教授の肩書き)に弱い人は内容をそのまま鵜呑みにしてしまいそうです。



第三部のインタビューパートですが、なかなか興味深い内容でした。

オウム事件を担当した各都道府県警の元捜査員のインタビューに加え、上祐史浩のインタビューがありました。
上祐
上祐氏は麻原との決別を明確化するためにインタビューに応じたようです。「麻原」と呼び捨てにしていたのが印象的でした

当時のテレビではオウムの関与を散々否定していましたが、やっぱりかなり詳しく知っていたようです。今更ながら、嘘をつくことを正当化できる人間の怖さを感じました。

上祐氏によると「90年の熊本県波野村への集団移転は軍事兵器開発が目的だった。」そうです。

しかし熊本県警は兵器開発は把握していなかったそうです。

熊本県警は団体内部事情を把握するため、土地取得に関する国土法違反の容疑で強制捜査に入るのですが、強制捜査日程がオウム側にばれていました。

強制捜査は1週間の延期の後に行われたのですが、オウム側は1週間のうちに兵器開発に関する証拠を全て隠蔽したそうです。

オウムは93年に山梨県上九一色村に移ります。

上祐氏によると「第7サティアンの初期責任者は上祐氏で、初めからサリン製造が目的だった。」そうです。

その頃、坂本弁護士一家殺害事件が神奈川県警の管轄で起き、上九一色村の第7サティアンに疑いの目を向けていたそうです。

公安警察(警察庁)は信者の拉致・監禁など、多数のトラブルが発生していたため、全国の警察組織に教団組織の調査を命じていたが、信教の自由があるため、深く踏み込めなかったようです。

94年6月27日松本サリン事件が起きます。

長野県警は第一通報者の河野義行さんを疑う一方で、化学に詳しい捜査員による捜査チームを作り、秘匿捜査が行われていました。

この捜査チームは個人での製造は無理とし、河野さん犯人説を否定し、サリン製造原料から都内のオウム関連施設まで捜査の手を伸ばしていたそうです。

そして製造原料が上九一色村まで運ばれていることを突き止めました。

同じ頃、坂本弁護士事件を捜査していた神奈川県警は長野県警とは別ルートでオウムとサリンの関係をつかみます。

オウムに出入りする業者を追跡するうちに、大量の薬品を上九一色村に運んでいることを把握したそうです。

長野県警と神奈川県警からサリンとオウムに関する情報が警察庁に上げられ、警察庁にオウム専従班が結成されました。

上九一色村の教団施設付近で異臭騒ぎが起こり、残留物からサリンの製造が確実となりました。しかし、サリンの製造を取り締まる法律が無く、警察は動けませんでした。

そこで、別の事件で立件しようとオウム関連の事件を全国的に調べ、山梨県警管轄の信者拉致監禁事件で立件しようとしますが、山梨県警の規模では力不足な上、波野村事件が不発に終わった前例もあり、踏み込めずにいました。

95年に入りオウムとサリンの関係が新聞に取り上げられ、オウム側も警察に対し警戒を強めるようになりました。

そんな中、2月28日に公証役場事務長拉致事件が起こります。これが警視庁管轄であったため、警察動員力として充分なものとなり、3月22日に強制捜査をすることが決まります。

オウム側は強制捜査が行われることを察知し、強制捜査が行われる前にサリンを捲くことを決定し3月20日に実行しました。

そしてサリン事件が起きた2日後の3月22日にオウムに対する強制捜査が行われました。



こうしてみると、警察の捜査情報がオウムに漏れたのがかなり影響してますね。

地下鉄サリン事件について、犯行計画がずさんだなと思うことがあったのですが、不謹慎な表現ですがイタチの最後っ屁だったというこのようです。綿密な計画を立てる間もなく犯行に及んだということで、やっと納得いきました。

もしこのサリン散布がもっと計画的に行われたならば被害規模は格段に大きくなっていたかと思うとゾッとします。

ちなみにこの日、私は地下鉄千代田線に乗ったので他人事のようには思えないです。

17年経ち事件の記憶が薄れゆく中で、この番組を見たことは有意義だったと感じました。



私の評価 4/5
★★★★☆


ドラマパートのNHK記者部分が無ければ星5つあげてもいいと思いました。
ただし、この内容では当時を知らない若い人にとってみればなかなか整理し切れていない面があります。

未解決事件第1回のグリコ・森永事件はうまくまとまっていたと思いますが、オウム事件については規模が違いすぎてサリン事件以外のことについてはあっさり触れるか全く触れていません。

気になったのはオウムの信者で弁護士だった青山氏について全く登場しなかったことです。何か裏がありそうですね。

村井氏刺殺事件についても触れられていません。

これでは当時を知らなければ全体像が見られないと思いました。



※2012/06/04追記
06/03にオウム真理教の指名手配版「菊池直子」が逮捕されました。

この番組が逮捕に関し影響を及ぼしたのは間違いないでしょう。結果論ですが、TV放送はかなり意義のあることだったと感じました。
関連記事
この記事が参考になりましたら拍手をお願いします。管理人のモチベーションが上がります。m(_ _)m

コメント

コメントの投稿

非公開コメント


ページ下部までご覧いただきありがとうございました。